腐女が実写BLに求めるもの。
脱稿したよ! ヤッターー!!
編集作業はまだこれからなんですが、ひとまず穏やかな気持ちでお盆休みを迎えられそうです。
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で、だ。
これまでのエントリで「ポルノグラファー」と「インディゴの気分」を褒めちぎってきた腐女なんですけども、ふと思ったんですよ。
あぁ、これじゃ誤解されて仕方がないなぁ、と。
これまでの腐歴を綴った過去記事にもあるように、わたしはBLCDやゲイビデオを通ってきております。
また最近では、素人ゲイカッポーのセックス音源がアップロードされているYoutubeチャンネルも頻繁に漁っておりまして、そこにも推しを発見しました。
興味がある方はちょっと探してみるといいですよ。まじえろい。
あ、訊かれてもどのチャンネルかは教えませんのであしからず。各自エロスへの飽くなき探究心を発揮するのだよフハハハ。
そんな腐女なもので、「ポルノ」「インディゴ」の両作品を、『ちゃんとエロいセックスシーンを描写した』から評価しているんだと勘違いされているのではないかと。
まぁそこまで間違っちゃいないんだけどさ、でも厳密には違っていて。
今回はそんなお話をしたいと思います。
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『ちゃんとエロいセックスシーンを描写した』ドラマ作品。
ただそれだけでいいのなら、ゲイビレーベルからそういった仕立ての作品もたくさん出ています。
男優さんにどこかの流行漫画のコスプレをさせ、二次創作にありそうなシナリオ通りの台詞を喋らせ、腐女の好みそうなエロを挿入する。
またはレーベルの作家が書いたのであろう、素人丸出し中二病設定の安いポルノドラマ。
でもそこに一定レベルのドラマとして体を成した作品はありません。
いいですか、ありません。
えぇ、失礼ですね。本当にごめんなさい。それほどたくさんの作品を知っているわけでもないのに、偉そうにして申し訳ないです。
でももし仮にそんなクオリティの作品があるのなら、腐女界隈で話題に上らないはずがないのです。もしゲイビ界隈に、実写に不慣れな二次元愛好腐女にも安心して薦められる作品が存在するのであれば、きっととっくにtwitterなりでバズって話題になってるはずなのです。
けれど現状、そうはなっていない。
むしろわたしが知らないだけなら叱ってください。エロへのリサーチ力はまだまだ中の下、ですので。
つまりそちらの作品に、ドラマとしての質を求めるのは間違いなのです。
別にそういった作品を貶めるつもりはありません。ただゲイビレーベルから出ている以上、セックス以外を求めるのは違うのです。つまり用途が違うのであって、極限までモザイク処理の少ないカメラワークで、イケメンとイケメンのセックスを実写で見たい層にとって、これ以上のものはありません。需要があるからこそ、供給側はそれを商売として成り立たせることができるのですから。
さて。
では次に「ポルノグラファー」と「インディゴの気分」がドラマとしてどうだったか、というお話です。
何がどう素晴らしかったのかについて、多くは語りません。だってみんな知ってるもんね。
「演技力のあるキャスト陣」、「原作の良さを損なわず、上手く三次元にフィックスさせた脚本」、「品のある演出」、このあたりだけでもじゅうぶんに傑作のできあがる要素を満たしていますよね。
さらに配信限定だったのも功を奏していたと思います。
監督・脚本を務められたのは、長く民放ドラマや映画、バラエティで活躍してこられた方。そんな監督なので、当然ながら地上波でできるギリギリをご存じでしょうし、だからこそ配信限定ならではの攻めた芝居を作ることができたのではないかと考えています。
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ここまでを踏まえたところで、少し『わたしにとってのBL』を語らせてください。
あくまで個人的見解となりますが、わたしの愛好する『BL』とは、ミクロに分解すると
「おまえがおまえだから好き」
ということになります。
そこにある背徳感や禁忌感などはあまり重視しておらず、極端に述べるならば、わたしにとって『BL』とは単に「女性性の排除」なのです。
これはわたしの個人的な生い立ちや「女性性」というものへの考え方が起因するのですが、要するに
『女性性(=主体的自分自身)の排除』
を求めた結果、最も居心地の良いラヴでありエロが『BL』というかたちに濾過されたのですね。
なので二次元に傾倒して生きてきたわたしの人生経路に「夢女」はありませんし、受けまたは攻めへの自己投影願望もありません。わたしは所謂、「推しCPがセックスしている部屋の天井になりたい」系腐女です。
そしてわたしの愛する完璧な世界であるところの『BL』の中には、不完全でゴミみたいに醜いきのこは存在してはならないのです。
わたしはそんな『BL』観を肥大させながら生きてきた腐女なのですが、同性間恋愛と友情との境目をどこに置くかを考えるとき、やはりセックス(身体的接触欲求)のあるなしなのではないかと考えています。
「おまえがおまえだから好き」
これって少年漫画でも成立しそうな台詞ですよね。この時点ではまだ純粋な友情の余地がある。
そしてこの台詞が『BL』になるには、やはり
「おまえがおまえだから好き。おまえの何もかもを独占したい」
まで必要になってくると思うのですよ。
結論:よって『BL』とセックスは不可分である。
「ラヴ」と「エロ」の両輪がうまく回ってこそ、『BL』は成立するのです。
※個人的見解です。
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それでは改めて「ポルノ」「インディゴ」両作品の話題へ戻ります。
『ちゃんとエロいセックスシーンを描写した』から素晴らしい。
そういった側面も確かにあります。
けれどここまでの一連をお読みいただければ、もうそれだけでないことはご理解いただけたのではないかと思います。
地上波ドラマ、もしくは邦画的基準で一定レベルに達している作品が、単なる友情とは一線を画し『BL』にとって肝(キモ)ともいえるセックスシーンを勿体ぶらずに描いてくれた。
この点を、わたしは素晴らしいと述べてきたのです。
そう。これまでの実写BL作品には、ラヴはあってもエロはなかった。
もっと言えば、エロを排除することによって薄まってしまった、氷の溶けきったカルピスみたいなラヴしかなかった。頼むからカルピス濃くしておくれよぉ。むしろ原液そのまま飲みたいんだよぉ。浴びるほどのカルピスおくれよぉ。
欲望を感じさせる濃厚なキスシーンすら、映画でも観たことありません。
そんな餌を啄む小鳥さんみたいなチューで「愛してる」とか言われても冷めますわ~~。おまえのポテンシャルはそんなもんなのか!? もっと性欲出してこいよ!! BLとエロは切っても切れないんだよ!!!! などと叫んだところで、台本のト書きにそうとしか書かれていないのなら仕方がない。役者さんは悪くないし、実写BLにそこまで求めるわたしが異端であり間違ってるんだよね。自己肯定感ダダ下がり。
もっともこの点のみでいうならば、邦画全体でもエロいちゅーする恋愛ものすら少ないですよね。そんな中でも「娼年」はスゴかった……松坂桃李くんスゴかった……
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長かったですね、スミマセン。そろそろ締めにかかります。
「ポルノグラファー」と「インディゴの気分」がここに至るまでには、まず企画を通してくれたてれびの偉いひと、素晴らしい脚本と演出を手がけてくれた監督、スタッフの方々、そして何よりも、オファーを受け、体当たりの本気で役に挑んでくれたキャスト陣にスタンディングオベーションで賞賛を贈るとともに、心の底からの謝辞をお伝えしなければならないのではないでしょうか。
こんなにも素晴らしい作品を、本当にありがとうございます。
原作の続編が連載中とのことで、コミックス派のわたしは単行本にまとまるのを首を長くして待っているのですが。
ドラマも続々編あるといいねぇ。