野放図メモ。

根ガティブな腐女が野放図に書き散らかすメモです。

腐女がゲイビデオに求めたもの。

 今回は、わたしがゲイビデオに求めたことと、満たされたもの、満たされなかったものについてお話しします。

 

hermitage58.hatenablog.com

 こちらのエントリで述べたとおり、腐女を拗らせたわたしは最終的に、ゲイビデオ鑑賞に行き着きました。

そこにはわたしがこれまで夢想してきた『男性同士の性行為』が生々しく収録されており、ありとあらゆるタイプの男性がペロペロパンパンしてらっしゃいました。

妄想ではないリアルなセックスの世界が広がっており、そこは紛れもなく現世に現れた桃源郷でした。

 

中でもお気に入りはS君(仮名)。

とにかく顔が良い。

ややつり目でクールな印象に、美しい横顔と酷薄そうな唇。

そういうお顔立ちが直球ど真ん中にストライクで、当時のわたしが理想とする整った顔面の持ち主でした。

初めて目にしたオフショットでのイチャイチャに彼が出演していたことも大きかったかもしれません。日本人の芝居でないキスシーンを、初めてわたしに見せてくれたのが彼でした。

そういった刷り込み効果もあって、わたしはすぐに彼の出演作を買い求めるようになりました。

とはいえああいう作品って、そこそこお値段張るんですよね。需要がニッチだから総プレス数が少なくて、結果として割高になるのは致し方ない事情です。

そんなわけで、お財布と相談しながら月に2本~3本のペースで買い集めていきました。

 

特に気に入っていたのは、男優仲間のN君(仮名)との作品。

こちらも別タイプのイケメンで、優しく涼しげ。だけれど柔和な表情をされる、人気男優さんでした。

まぁ彼、セックスに消極的だったんですけどね。そこはまた別の話ということで。

ともかくこのおふたりが並ぶジャケ写は、美しい以外の何物でもない。

贔屓目ですが、きちんと管理されればアイドルやタレントさんでもおかしくないくらい華がありました。

 

基本的にその頃から、わたしが頻繁に再生するのは、主に『本番』外のオフショット。

撮影で何度も顔を合わせるうちに自然と仲良くなった彼らが、待ち時間にベッドでゴロゴロしたり、外で食事をしたり。

その隙間で、サービスのようにキスしてくれるんです。

挿入行為はオマケみたいなもので、わたしはそんな彼らのナチュラルなイチャイチャを、繰り返し眺めるようになりました。

 

さて、またしてもここで、オタク特有の探究心が顔を出します。

彼らのことをもっと知りたい。

その一心で、2ちゃんねるの過去ログを漁るようになりました。

幸いなことに彼らの個人情報が流出しているなどということはなく、そこからわたしが得た情報は、

『あのレーベルは腐女子向け。だからゲイにはあまり好ましく思われていない』

という事実でした。

 

不思議なことにこの頃、「女性向けに制作されたゲイビデオが、目論見通り一定の支持を得る」という逆転現象が起こっていたらしいのです。

ここ以外にも、そうした「女性をターゲットとするゲイビデオ」を販売しているメーカーは複数存在しました。

わたしもそのマーケティングにまんまと乗っかったひとりというわけです。

余談ですが、『N君×S君』の同人誌が、某プロBL作家の手でコミケに出展されたこともありました。

 

いやはや、これで「本編より長いオフショットが収録されたアダルトビデオ」の謎が解けましたね。

ターゲティングされた腐女たちは、ある意味では汚い生のセックスよりも、イケメンのキスやイチャイチャが見たい。

だから収録内容も、本番よりオフショットが長くなるわけです。

 

ちなみにファンイベントのようなものが催され、その様子が収録されたディスクも複数枚、発売されていました。

客席を占める多くは女性であり、さながら本当に、アイドルのファン交流イベントのようでした。

 

約半年の間にわたしがS君(仮名)に貢いだ総額は、おそらく諭吉10人では収まらなかったと思います。

そこまでハマり込んでのめり込んでいたわたしが何故、ゲイビデオ業界から離れたのか。

答えは簡潔で、S君(仮名)が引退したからです。

 

AV業界は入れ替わりが激しく、わたしがS君(仮名)と出会った頃には、もう既に彼の引退は決まっていました。

ですのでわたしがリアルタイムで発売に立ち会えたのは、彼の最後の出演作だけです。

 

以降も好みの男優さんを探してネットの海を徘徊しておりましたが、ついに最初の頃ほどの情熱を注げるイケメンには出会えず。

「女性向けに作られたゲイビデオ」というニッチの中のニッチを好んで鑑賞していたため、「ゲイ男性が抜くために作られたゲイビ」では、満足できなかったのです。

 

こうしてわたしのゲイビデオへの興味は、徐々にフェードアウトしていきました。